相続税か?贈与税か? 贈与と同じ年度の相続

生前贈与をおこなったその年に贈与者が無くなった場合、
申告は相続税の申告となるのか、贈与税の申告となるのか、
それともその両方か。疑問が生じます。

このとき、ケースとしては2つの場合が考えられます
※以下では、亡くなる前にその年に贈与した財産を財産A、亡くなった時に相続した財産を相続財産Bとします。

①財産Aの受贈者が相続財産Bを取得するとき(すなわち相続人であるとき)→子等の時
②財産Aの受贈者が相続財産Bを取得しないとき(相続人でないとき)→孫等の時

これらについて国税庁のタックスアンサーでは以下のように記載されています
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4307.htm

すなわち①のケースでは財産Aは相続財産Bとあわせて相続税の対象となるため贈与税の申告は不要で相続税の申告となります。よって相続税がかからないのであれば申告は不要です。

問題となるのは②のケースで、この場合は財産Aに対する贈与税の申告が必要となります。
この時、基礎控除110万円以内の贈与であれば問題とはなりませんが、それを超える金額であるときは、贈与税がかかってきてしまいます。そこで考えられるのが相続時精算課税の適用です。

すなわち財産Aの金額が2500万円以下であった場合は、相続時精算課税を適用することで贈与税がかからずにすむことになります(ただし、この適用により、財産Aが相続財産に含まれることになりますので、相続税がかからない人が前提となります)。

すなわち、相続財産Bが2000万円で、孫への生前贈与である財産Aが1000万円であった時、生前贈与は2500万円以下ですので、孫の贈与税はかかりません。

また相続税の課税価格はB2000万円+A1000万円の合計3000万円となりますが基礎控除以下なので相続税もかかりません。よってかなりの額の節税にすることができます。

なおこの場合、相続時精算課税の選択届出書を税務署に提出する必要がありますが、その期限と提出先が問題となります。

①期限
期限については相続税の申告期限と贈与税の申告期限(翌年3/15)のいずれか早い方の日付となります
②提出先
通常は受贈者の所轄税務署ですが、この場合は贈与者、すなわち被相続人の納税地が提出先となります。

詳細は以下のタックスアンサーを参照ください
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4302.htm
贈与税と相続税は知っているか知らないかでかなり金額が異なりますので、ぜひ覚えていおくと良いかと思います。