簡易課税を期中にやめる方法(期間特例の適用)

消費税の計算方法として簡易課税というものがあります。

簡易課税とは、売上に対して業種ごとに定められた仕入率を乗じて仕入を計算し、残った利益で消費税の計算をおこなうものです。例えば、卸売業なら90%、小売業なら80%、製造業なら70%といった具合です。

これによるメリットとしては、例え自分の仕入率が定められた率より低くても、一定率で計算できるので消費税を安くできることができます。

一方デメリットはその逆で、自分の実際の仕入率が定められた率より高いと損をすることになります。

また、一度適用してしまうと2年間はやめられませんし、得をすると思って適用したものの、業態が変わって損をすることになったとしても、年度の途中では基本的には辞められないというデメリットがあります。なぜなら、簡易課税をやめる届け出は課税期間の初日の前日までが提出期限とされているからです。

では、本当に期の途中でやめる方法はないのかというと、ずばりあります!

それは期間特例を提出すれば良いのです

期間特例とは、通常1年単位で区切られる消費税の課税期間を3ヶ月、1ヶ月単位に変更できるというものです。

例えば、3ヶ月を課税期間とする期間特例を6月末までに出せば、次の課税期間が7月1日からになるため、その前日の6月末に簡易課税を取りやめる届け出を出すことができるのです。
その結果、7月からは原則課税に変更することができます。

ただし、留意点があります。

• 簡易課税を適用してから2年経過していないと、期間特例を出しても、簡易課税の取りやめはできません。

• 期間特例を提出するということは、3ヶ月もしくは1ヶ月ごとに消費税の申告をおこなうことになります。手間が大きく増えます。

期間特例も一度適用すると2年間はやめられません。よって2年間は手間がかかることを覚悟しないといけません。

本来は免税事業者などが短い期間で還付を受けられるように設けられた特例制度ですが、このような使い方をすることで、不利な状況を解消することができます。

ただし、申告が増えるということは税理士報酬が増えることにもつながりますので、メリットデメリットをよく検討した上で適用することが必要です。