海外転勤中の事業所得(ネット収入、アフェリエイト収入)について

今回は海外転勤中(出向中)に日本国内で得るネット収入確定申告について説明します。

先日の記事で海外転勤中でも日本国内で得た不動産収入について確定申告の必要があると説明しました。

では、海外で仕入れしたものを日本のamazonで販売したり、日本国内のアフェリエイト収入を得た時には確定申告をする必要があるのか、

結論としては、ありません。

非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。ここで「国内源泉所得」には次のようなものがあります。

①恒久的施設帰属所得
②国内にある資産の運用又は所有により生ずる所得
③国内にある資産の譲渡により生ずる所得

先日の記事で紹介した不動産収入不動産の譲渡所得については、上記でいう②③に該当するため、課税対象とされ確定申告が必要になります。

では、amazon等のネット販売アフェリエイトはなにに該当するのか。

ここで検討が必要なのが①恒久的施設帰属所得です

恒久的施設帰属所得とは、恒久的施設に帰属する所得のことです。
恒久的施設とは、一般的に、「PE」(PermanentEstablishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。国税庁HPより

  1. 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含みません。
  2. 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。
  3. 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。

日本国内に恒久的施設を有するかどうかを判定するに当たっては、形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定することになります。例えば、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、単なる製品の貯蔵庫は恒久的施設に該当しないことになります。

では、ネット販売やアフェリエイト収入がこの「恒久的施設帰属所得」に該当するのかというと、現状では恒久的施設を保有せずにおこなうことができるため、一般的には該当しません。

※amazonの倉庫は現状では恒久的施設と認定されていません(改正の可能性あり)

よって確定申告の対象とならないのです。

ただし、消費税に関してはこのような恒久的施設の有無は課税売上の判定に影響しませんので、国内で販売や役務の提供をおこなったのであれば、課税売上として申告が必要となります。ご留意ください。