開業費と創立費の税務処理(所得税)

個人事業主として事業を開始する時、実際に営業を開始するまでに種々雑多な経費がかかることかと思います。

例えば、チラシなどの広告費や名刺印刷代、土地建物の賃借料、通信費や水道光熱費など、個人事業主の場合は事業に関わる費用であれば、大半が認められるかと思います。

このような費用については、所得税法上、「開業費」として繰延資産に計上することになります。

繰延資産とは、個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後 1年以上に及ぶものをいいます(所法2①二十、旧所令7①)

なお開業費を繰延資産に計上すると基本的には以下の中から選択して経理処理することになります。

1. 60か月で均等償却する。
2. 自分で定めた期間で任意償却する。
3. 開業した時に一括で費用とする。もしくは任意の時点で一括費用とする。

上記を読んでみてもらえると分かると思いますが、要するに、いつ費用としても問題ないということです。

参考:国税庁HP

例えば

・ 開業した年に一括費用とする。
→メリット:開業年度は赤字のことが多いと思いますが、青色申告の場合はこの損失が3年繰越すことができるので、開業2、3年目の税負担が小さくすることができます。

・ 開業後しばらくして利益が出てきてから費用とする。
→メリット:開業しばらくは赤字の年が続く場合は、利益が出た時点で費用とするのも良いかと思います。

ご自身の利益の状況に合わせて、最も節税効果がある時点で費用にすれば大丈夫です。

なお仕訳としては以下が考えられます。

〇開業時点: 
開業費(資産勘定)/ 事業主借(通常は開業前に支出しているので事業主勘定になると思われます)

※開業費は決算書の裏に記載されている減価償却明細に記載しておきます。

〇経費処理時点:

開業費償却(費用勘定) / 開業費(資産勘定)

※開業費償却勘定は通常の減価償却費勘定に含めても問題ありません。

なお、開業費と並んで耳にすることがあるのが、創立費かと思いますが、これは法人が設立登記するまでにかかる費用なので、個人事業主では関係ありません。