外資系企業の中には、給与の代わりにストックオプションを付与することがあります。
このストックオプションについて、税法上は税制適格と税制非適格の2種類が存在します。
今回扱うのはそのうち、税制非適格のものです。
これは文字通り、税制の適格要件に当てはまらないストックオプションのことですが、
外資系の親会社等から受け取ったストックオプションの場合、日本の税制を検討して発行していることは通常考えられないので、税制非適格になることが一般的です。
では、税制非適格であれば、なにが必要か、ずばり確定申告です。
申告の仕方はというと、実はそこまで難しくありません。
以下で、ストックオプションの段階別に説明します。
①ストックオプションの付与時点
特に申告は必要ありません。
②ストックオプションの権利行使時点
権利行使時点の時価と行使価格の差額が給与所得等となります。
③取得した株式の売却時点
権利行使によって取得した株式を売却した時は、
売却価額と権利行使時点の時価との差額が譲渡所得になります。
上記で②と③に区分しましたが、通常は権利行使して即売却することが多いと思いますので、給与所得等のみを加算して申告することになります。
・必要な書類
権利行使日、権利行使価格や行使株数、行使時の時価を把握する必要があります。
これらが把握できる資料としては、行使の都度発行される「権利行使確認書(exercise confirmation)」、もしくは「外国親会社が発行する行使履歴書(history)」にて確認することが出来ます。
・具体的な計算方法
(A.権利行使時の時価-B.権利行使価格)×C.行使株数×D.為替レート=給与所得
A.B.Cに関しては、上述の書類に記載されていますので、そのまま式に当てはめてください。
A:FMV@exercise B:option exercise price per share C: share exercised
Dについては、都市銀行のHPに行けば日々の為替レートが過去の分も見れますので、行使日現在の為替レート(TTMを使用)を見ればわかります。
・②の所得は給与所得等と記載しましたが、これは給与所得以外の所得になることがあるということです。
・退職後に権利行使をして、職務の遂行に関連しない利益があるとき
→雑所得
・退職に基因して権利行使が可能となっているとき
→退職所得
・経営コンサルタントや顧問弁護士等が受けたもの
→事業所得もしくは雑所得
・付与対象者の相続人が権利行使
→雑所得
・確定申告にあたって、下記のものが税務署には提出されています。
「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」
これは、外国親会社等から経済的利益の供与等を受けた役員等が勤務する内国法人又は外国法人の国内における営業所等の長が提出することとなっています。
つまり、もしあなたがストックオプションを海外の親会社から受け取っていた場合、あなたの務める会社が、税務署にあなたの名前で提出しているのです。
ということは、申告しないと税務署にはバレています。
②の権利行使時点では、税制適格ストックオプションの場合、確定申告は必要ありません。
③の時点で譲渡所得としてまとめて申告します。譲渡所得の方が一般的には税額が低くなると考えられますので、税制適格の方がメリットが大きいかと思います(場合にもよりますが)。
とりあえず、今の私の知識ではこの程度なのですが、随時更新していきたいと思います。