日本の所得税は超過累進税率が採用されています。
すなわち所得が高くなればなるほど税率が高くなって、税金も高くなるという制度です。
儲かっている人からはたくさん税金をとるということですね。
(H28現在の最低税率は5%で最高45%と大きな差があります)
ここで、もし仮に1年目で300万円稼いで2年目に20万円稼ぐAさんと、
1年目2年目ともに160万円ずつ稼ぐBさんがいたとします。
2年間の合計は二人とも320万円なのに、
税金合計はAさん212,500円、Bさん160,000円と大きな差が発生します。
このような格差をなくすために設けられた制度が平均課税です。
平均課税とは、
変動所得又は臨時所得がある場合に、
それらの金額を他の所得とは分けて税率を乗じ税額を計算することで、
公平性を担保するものです。
※変動所得、臨時所得がなにかということについては後ほど説明します
計算方法はやや複雑ですが、国税庁HPにある計算書を用いれば
算出することができます。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/011.pdf
簡単に説明すると、臨時・変動所得をX、それ以外の所得をYとすると、
Yで決まった税率をXにも適用して計算するというものです。
Yの税率が5%ならXにも5%を乗じて税額を出します。
これによって超過累進税率なら高い税率がかかったであろう臨時・変動所得の税金が
平準化されるということですね。
なお平均課税の適用条件として、以下の1.2に当てはまる必要があります。
1. 変動所得、臨時所得があること。
変動所得は簡単にいうと、
漁業や養殖、他に原稿料や印税など年によって変動が大きい所得のことです。
一方臨時所得とは土地などの不動産を貸し付けする際に発生する権利金や頭金、
プロ野球選手の契約金等のことをいいます。
詳しくは国税庁HPにある「変動所得・臨時所得の説明書」を参照ください
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/pdf/15.pdf
2. その年の所得について以下に当てはまること
A. 臨時所得のみの時→臨時所得が総所得金額の20%以上
B. 変動所得のみの時→変動所得が過去2年間の変動所得の平均を超えており、かつ総所得金額の20%以上
C. 臨時所得と変動所得の両方がある時(変動所得は過去2年間の平均超)
→臨時所得と変動所得の合計が総所得金額の20%以上
D. 臨時所得と変動所得の両方がある時(変動所得は過去2年間の平均以下)
→臨時所得が総所得金額の20%以上
他、留意すべき点について以下に記載しておきます
・申告書には計算書を添付します
・必要経費や青色申告特別控除額については、通常の所得と変動所得、臨時所得、それぞれに按分します。
・翌年の予定納税の額を決定する際は、変動・臨時所得の額は含まれずに計算されます
・不動産の権利金や頭金については、臨時所得ではなく、譲渡所得とされるものもあるため留意が必要です(変動所得・臨時所得の説明書参照)
平均所得を利用すると税額を大きく減らすことができる可能性があります。
ぜひ覚えておくといいでしょう。