相続税の申告に必要な戸籍謄本等について

今回は相続税の申告において必要な書類である、
戸籍謄本等について説明します。

ただし戸籍謄本等と一言でいっても種類がたくさんありますので、
先に種類とその意味を簡単に挙げておきます。

A戸籍謄本
→現在の戸籍で全員の内容が書かれたもの

B戸籍抄本※相続の申告では不要
→現在の戸籍で一個人の内容が書かれたもの

C除籍謄本
→死亡、婚姻等の理由によりその戸籍の中の人全てがいなくなった状態のもの

D改製原戸籍
→法が改製されたことによる改製前の戸籍を示したもの。
法が改製された時点で、前の記録が消されて現在の戸籍が作成されている可能性があります。
よって法改製前に記録された事項がある場合はこの改製前原戸籍が必要になります。

E戸籍の附票※小規模宅地の特例の場合などに必要
→戸籍が出来た時からの住所が全て記載されているもの。
戸籍謄本には現住所の記載はありません。また住民票では前住所と現住所しか記載がないため、今まで住んでいたところをまとめて確認できるのがこの附票になります。

相続税の申告において必要とされている謄本は
「被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本」です。

よってまず必要なのは上記A:戸籍謄本になります。
これで配偶者とその子を見ることができます。

また、離婚していたとしてもその離婚が法の改製後なら、戸籍謄本で前妻とその子も確認することができます。(籍を外しているなら除籍と表示されます。除籍されていても子には相続の権利があります)。

ここでもし戸籍謄本に改製と記載されていると、D:改製前の原戸籍も入手する必要があります。原戸籍を入手することで、法の改製前に離婚した配偶者との間の子も見ることができます。他に、「転籍」と記載されている場合は、転籍前のC:除籍謄本を入手します。他に、「婚姻」と記載されている場合は、両親が筆頭者となっている戸籍謄本が必要になります。
両親のものを入手することで兄弟姉妹を合わせて確認できます。

これだけ集めれば、
その人の両親、兄弟、配偶者と子供(複数回結婚している場合は複数人)を明らかにすることができます。

配偶者(婚姻関係にある人)は必ず相続人になりますが、それ以外に子、両親、兄弟姉妹がどれだけいるのか把握することができ、法定相続人が誰になるのか判断できるのです。

例えばサザエさん一家の場合、
マスオさんの戸籍には、
妻サザエと子タラオが記載されています。

一方で波平の戸籍には、
妻フネ、子ワカメ・カツオが記載されています。

ここでサザエの結婚が法改製後であれば波平の戸籍には子サザエが記載されていますが(除籍扱い)、改製前の結婚なら、波平の戸籍には子サザエは記載されていません。

もし仮に波平が亡くなった場合、通常の戸籍謄本だけ取得したならば、子はワカメとカツオの2人だけになってしまい相続の計算が正確にできません。

よって改製前原戸籍を取得することでサザエの存在を認識するのです。

戸籍を集めることは相続の申告における大きなハードルの一つといえますので、
上述程度のことについては把握しておくのが良いでしょう。