退職金の源泉徴収について

退職金を支払う場合には、給与の支給と同様に源泉徴収をする必要があります。

そもそも退職金は退職所得として計算され、
当然所得税がかかります。

退職所得の計算方法は
(退職金支給額△退職所得控除額)/2 とされており、
退職所得控除額は40万円×勤続年数(20年を超えると70万円)であり、
非常に優遇されています。

例えば定年まで40年働いたサラリーマンが2000万円の退職金を受け取った場合、
(2000万円△2200万円)/2=△100万円となり、税金はかかりません。

2500万円なら退職所得は150万円となりますが、
ここに税率5%をかけても7.5万円程度です(復興税2.1%は別途必要)。

※具体的な計算方法は一番下のリンクの国税庁HPを参照

老後の生活を支える資金となるため税制的に非常に優遇されているということですね。
ところで、この退職金を受け取った人が税金を自分で支払う必要があるかというと、そうではありません。

実際には支給する側(会社)が源泉徴収を行った上で支給されることになります。

源泉徴収する額は上述の式で計算した金額です(上の例題なら7.5万円+復興税)
そして支給する側(会社)は翌月の10日までに税務署に納付します。

また、退職所得は他の所得とは別に課税されるので(分離課税)、
源泉徴収されて申告・納税は完了です。つまり受給者は確定申告の必要はないのです。

なお源泉徴収に際して重要なことがあります。
それは、退職する人、つまり受給者に
「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらうことが前提ということです。

これを提出していないと、上述のような厳密な計算によることなく
一律で20%(復興税込みで20.42%)の源泉徴収が行われることになります。

つまり2000万円の退職金なら400万円です。かなり高いですね。。。

忘れずにに上述の申告書を記載して会社に提出してもらうようにしましょう。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

なお、20%の源泉がされた場合でも自分で確定申告をすることで、
本来の退職所得の計算に基づく税額にすることが可能です。
その時に多額の税金が還ってくることになりますね。

最後に豆知識として、
退職所得は基本的には申告が不要と記載しましたが、
他に所得が全くない場合、申告書に記載することで基礎控除や扶養控除といった各種所得控除を退職所得に使うことができます。

他に所得があった場合でも、各種所得控除を使いきっていないような状況であれば同様です。
よって、申告すれば税金が還ってくる可能性があるということですね。
覚えておくと良いと思います。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2732.htm